七夕豪雨で途絶えた「清水瓦」の復刻。1400年続く瓦を日常使いできるアイテムへ

「瓦」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?

おそらく多くの方が、お城や日本家屋の屋根を思い浮かべるのではないでしょうか。

1400年以上にわたり、日本の建物を守ってきた瓦ですが、実は日常で役立つさまざまな性質を備えています。

そんな瓦の可能性に着目したのが、静岡・清水で半世紀以上続く長澤瓦商店。

これまで屋根材として扱われてきた瓦を、一つの素材として捉え直し、現代の暮らしで使える道具へ落とし込みました。

この記事では、昔ながらの瓦がどう現代の暮らしに役立つのか、商品に込められた工夫と、失われた清水瓦をよみがえらせた職人の挑戦をご紹介します。


屋根だけではない。暮らしに役立つ「瓦の力」

古来、雨や風、日差しなどから、建物を守り続けてきた瓦。

土を高温で焼き上げて作られる瓦には、吸水性や通気性、保温性など、焼き物ならではの特徴があります。

そのなかでも、今回ご紹介する二つの商品に生かされているのが「吸水性」です。

グラス表面の水滴を受け止めるコースター。アロマオイルを染み込ませ、やわらかな香りを広げるアロマストーン。

使い方は異なりますが、どちらも瓦の持つ性質を上手く利用したものです。これまで屋根の上で家を守ってきた瓦が、姿形を変え、家の中を彩るアイテムになりました。


水滴を受け止め、卓上を美しく。瓦のコースター

冷たい飲み物を飲んでいると、グラスについた水滴で、いつの間にかテーブルが濡れていることはありませんか?

そのままにはしたくないけれど、何度も拭くのは少し面倒。布製のコースターは濡れたままになりやすく、プラスチックだとグラスの底に張りついて、一緒に持ち上がってしまう…

そんな時に活躍するのが、瓦のコースターです。

土から作られる瓦には吸水性があり、グラスの下に敷くだけで、水滴によるテーブルの濡れを抑えてくれます。さらに、約100gと適度な重さがあるため、グラスを持ち上げたときにも張りつきにくく、安心して使えます。

表面には、瓦ならではの美しい焼きムラ。天然の陶土を使い、一枚一枚丁寧に焼き上げているため、色や表情がわずかに異なります。これも焼き物ならではの個性です。

大きさは直径9cm、厚さ5mm。瓦らしい重厚感がありながらも、主張しすぎない落ち着いた印象で、和食器にはもちろん、ガラスや洋食器とも相性抜群。表参道の料亭でも取り扱われるなど、その質は高く評価されています。

毎日使う物だからこそ、便利なだけではなく、少し気分が上がるものを選んでみませんか。


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コースター 七夕豪雨で消えた「清水瓦」


好きな場所にお気に入りの香りを。瓦のアロマストーン

家に帰ったとき。仕事の合間。車の中。夜寝る前の時間。

お気に入りの香りがふわっと香るだけで、気持ちが落ち着いたり、やる気が出たりしますよね。

けれど、キャンドルは火の扱いが気になるし、お香は煙が気になる。ディフューザーは倒したりするのが怖かったり、スペースが必要だったり。もっと手軽に、ほんの少しだけ香りを楽しみたい時もあります。

そんな時に使いやすいのが、瓦の吸水性を生かしたアロマストーンです。

お好みのアロマオイルや香水を染み込ませるだけ。玄関やベッドサイド、デスク、車のダッシュボードなど、好きな場所で気軽に香りを楽しめます。

サイズは約3cm四方。限られたスペースにも置きやすく、香りを広げすぎたくない場所にも取り入れやすい大きさです。

また、香りを加えるたびに、色合いや表情が少しずつ変化していき、香りの持続時間も長くなっていきます。

新品のまま保つのではなく、使いながら自分だけの瓦へ育てていく。それも、自然素材ならではの楽しみ方です。

仕上げ(色味)は、ザラザラとした焼きムラを楽しめる「梨地」と、全面を磨き上げた、いぶし銀色の「磨き」の2種類。木箱でのお届けなので、贈り物にもおすすめです。


ちなみに、、

香りの情報は、記憶や感情を司る脳の「大脳辺縁系」へ直接伝わるため、記憶や気持ちと結びつきやすいと考えられています。

複数の研究によると、香りの種類によって、次のような作用が報告されています。

・ストレスの軽減:サンダルウッド、沈香
・食欲の抑制:グレープフルーツ
・リラックス、気分の安定:ジャスミン、ラベンダー
・集中力の向上、気分高揚:レモン、ローズマリー
・記憶機能のパフォーマンス向上:レモン、ペパーミント

東京大学と日本香堂の共同研究によると、レモンの精油を吸引した後、ワーキングメモリー(記憶機能)のテストの成績が向上したとも。

デスクには、集中したい時の香りを。
ベッドの側には、ゆっくり過ごしたい時の香りを。

その日の気分や過ごし方に合わせて香りをお楽しみください。

※香りに関する研究結果は、香りの種類や使用方法、研究条件によって異なります。また、感じ方や作用には個人差があります。


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アロマストーン 香瓦 mini スクエア


使うほど深まる、いぶし銀の美しさ

瓦製品の魅力は、機能性だけではありません。

光の当たり方によって、銀色にも、深い黒にも見える落ち着いた色合い。手に触れると伝わる、ひんやりとした焼き物の感触。

この独特の「いぶし銀」は、表面に色を塗って生まれるものではありません。瓦を約1100度で焼いたあと、窯を密閉してガスを入れ、内部の酸素を取り除きます。その際、ガスに含まれる炭素が粘土の表面に結びつくことで、瓦ならではのいぶし銀色が生まれます。

酸素が少しでも残っていると、上手くいぶされず茶色っぽく。温度が高すぎると黒く焼け焦げ、逆に低いと表面が穴だらけになってしまったり。細かい酸素濃度や温度の調整など、高い技術力が必要になってきます。

また、陶芸は素焼きしてから釉薬を塗り、二度焼きする方法が一般的ですが、瓦は違います。釉薬を使わず、さらに一度焼きのみ。焼きそのもので色をつけるからこそ、同じものは一つとしてありません。

さらに、瓦製品は手の油やアロマオイルなどが少しずつなじむことで、艶のある黒へと変化していきます。日用品でありながら、育てる楽しみも味わえるのが瓦の魅力です。

 

七夕豪雨で途絶えた「清水瓦」の復刻へ

使用しているのは静岡・清水の土。

清水と瓦の歴史は古く、その始まりは7世紀まで遡ります。白鳳時代に建てられた豪族の古代寺院・尾羽廃寺(おばねはいじ)で、静岡の土で出来た瓦が使われたのが最初とされています。

江戸時代になると瓦づくりはさらに盛んになり、清水は一大産地へと発展。徳川家康が晩年を過ごした駿府城にも、清水瓦が使われたそうです。

しかし、1974年7月7日に静岡を襲った「七夕豪雨」によって、瓦づくりの設備や貴重な資料が流失。産地は衰退し、現在の清水には、瓦を焼く窯が一軒も残っていない状況でした。

「一度は途絶えてしまった清水瓦を、もう一度よみがえらせたい」

そう考えたのが、この瓦製品を手がける長澤瓦商店の二代目の娘・長澤玲奈さんでした。

清水瓦の技術は、大部分が口伝。残された資料がほとんどなかったため、玲奈さんはかつて瓦づくりに携わった方やその子孫など、約10人を訪ね歩きました。中には、80代の職人もいたそうです。

土を採っていた場所や運び方、窯の構造まで。一人ひとりの記憶を頼りに、失われていた清水瓦の歴史と技術を、少しずつ書き留めていったのです。

そのなかで見えてきたのは、清水瓦が、その土地の人々の営みに深く根ざした産業だったことでした。

かつて土が採掘されていた巴川流域には、今も焼き物に適した豊かな陶土が眠っています。長澤瓦商店は新たに採掘場所をつくり、その土を再び掘り起こすことで、「清水の瓦」を現代によみがえらせました。

コースターもアロマストーンも、単なる雑貨ではありません。

一度は途絶えた故郷の産業を、現代の暮らしに合う形で復刻し、未来へつないでいく。

そんな思いから生まれたものなのです。

 

静岡県唯一の女性鬼師「鬼玲」のものづくり

清水瓦を現代によみがえらせた長澤玲奈さんは、鬼瓦を専門につくる「鬼師」として修業を積んだ、静岡県唯一の女性職人です。現在は「鬼玲(きれい)」の名で、瓦の伝統技術を生かしたものづくりに取り組んでいます。

玲奈さんが清水瓦の歴史を調べるなかで、特に印象に残ったのが、かつての瓦づくりが「家族の仕事」だったことでした。

職人の家では、子どもの頃から粘土に触れ、雨が降れば、外に干してある瓦を家族総出で運び入れる。時には焼くのも手伝っていたそうです。

調査を進めるなかで、意外な発見もありました。かつて優れた鬼瓦をつくり、大きな賞を受けた職人が、偶然にも玲奈さんの同級生の曽祖父だったのです。

しかし、その同級生も、その父親さえも、曽祖父がどのような仕事をしていたのか、ほとんど知らなかったそうです。

「どれほど優れた職人がいても、語り継がなければ、親族にさえ忘れられてしまう」

その事実に、玲奈さんは強い危機感を覚えたといいます。

かつては地域を代表する産業だった清水瓦も、今ではその土地に暮らす人々さえ、存在を知らない。だからこそ玲奈さんは、残された資料や記憶を集め、清水瓦の歴史と魅力を伝える活動を続けています。

そして、歴史を記録するだけではなく、現代でも使いやすいアイテムとして、瓦をもう一度、暮らしの中へ。

この瓦製品にはよみがえらせた技術と、故郷の文化を次の世代へつなぎたいという思いが込められています。

 

まとめ

1400年以上にわたり、日本人の暮らしを守ってきた瓦。

長澤瓦商店は、その素材の力を生かし、これまで屋根の上にあった瓦を、日常で使えるコースターやアロマストーンへと生まれ変わらせました。

暮らしに取り入れやすく、使うほどに色や艶が深まり、自分だけの表情へと育っていく。それが瓦ならではの魅力です。

一度途絶えた清水瓦をよみがえらせ、故郷の文化を次の世代へつないでいく。長澤瓦商店がつくる瓦のコースターとアロマストーンで、瓦の魅力をぜひ楽しんでみてください。

この記事で紹介した商品

長澤瓦商店(静岡)Coaster: "Shimizu Gahara" Lost to the Tanabata Heavy Rains ¥1,800 Coaster: "Shimizu Gahara" Lost to the Tanabata Heavy Rains 長澤瓦商店(静岡)アロマストーン 香瓦 mini スクエア ¥2,860 アロマストーン 香瓦 mini スクエア